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論文

放射線分解多糖類の植物に対する生物活性発現

久米 民和

放射線と産業, (90), p.41 - 45, 2001/06

多糖類などの天然高分子の放射線による変化と、その応用に関する検討を進めている。多糖類は放射線によって容易に分解し、低分子化した分解産物にこれまでに見られなかった種々の新しい生物活性が発現することを明らかにした。ここでは、多糖類の放射線分解産物の新規の生物活性として見いだした抗菌活性,植物の生育促進,重金属や塩などの環境ストレスによる障害の抑制,植物の自己防御機能を高めるエリシター活性になどについて、成果の概要を紹介する。

論文

Pectic fragments prepared by irradiation and their phytoalexin elicitor activity

松橋 信平; 島津 昌光*; 久米 民和

Plant Nutrition for Sustainable Food Production and Environment, 0, p.217 - 218, 1997/00

ペクチン質への照射によるファイトアレキシンエリシター活性の増大について検討した。ペクチン質の酵素分解低分子物は、植物の防御物質であるファイトアレキシンを誘導するエリシターとして作用する。ペクチン質を放射線照射により低分子化し、より高いエリシター活性が得られるかを調べたところ、1000kGyおよび2000kGy照射試料の低分子画分で高いグリセオリン活性が得られ、1000kGy照射試料で高いオーキシンによる茎の伸長の阻害活性が得られた。これらの結果より、放射線照射により得られた分子量5,000以下のペクチン質は、酵素分解により得られるペクチン質より高いファイトアレキシンエリシター活性を有することが明らかとなった。この分解物は、植物の防御機能の向上に役立つのではないかと推察された。

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